凍結オイルタイマー

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凍結オイルタイマー

 昼食にカップ麺を食べることにした。お湯を入れて、近くに置いてあったオイルタイマーをひっくり返す。透明な液体の中を、色のついた水滴がぽたぽたと落ちていく様子が涼しげだ。  半分ほど色水が落ちたところで、ふと小さな紙切れが目に入った。店長の書き置きだ。 『オイルタイマーの半径五十センチ以内に液体を置かないこと!』 どういうことだろうと思って、今いちばん手近にある液体を確認する。カップ麺の蓋に触れたとき、異変に気づいた。冷たい。中を見ると、醤油味のスープがガチガチに凍っていた。 「こんなところに魔法雑貨置かないでくださいよ……」 オイルタイマーを商品戸棚にしまってから、凍ったカップ麵を前に、僕はため息をついた。
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