春宮鴇と魔法雑貨

対水害流しそうめん機

「暑いときはさっぱりしたものが一番！」
昼食時に店長が出してきたのは、流しそうめん機だった。卓上ウォータースライダーといったところか。透明なプラスチックのコースを、一口分のそうめんが水とともに下ってくる。
　実はこれも魔法雑貨で、雨が降っているときに使うと、雨が止むらしい。そういえば午前中はゲリラ豪雨で、叩きつけるような雨粒の音がひっきりなしにしていた。しかしそれも、今は心なしか和らいだような。
「昔どこかの国の聖人が、流しそうめんをして大雨や水害を防いだことがあるんだって」
意味がわからないが、願掛けのようなものだろう。僕はそうめんをすすりながら、得体の知れないヘンテコな聖人に平穏無事な毎日を願った。