おしゃべりなシーリングスタンプ

1/1
前へ
/15ページ
次へ

おしゃべりなシーリングスタンプ

 取引先に書類を送ることになった。店長が封筒の準備をして、僕が封蝋の作業をする。  店のシーリングスタンプは、手紙の内容ごとに図柄が変わる魔法雑貨だ。スタンプをギュッと押し付けて、押すたびに異なる図柄を確認するのが楽しい。 「これ、機密文書用のシーリングスタンプのレプリカなんだよね。機密文書を収めた封筒に使うと、絶対内容が流出しない効果があった。でもレプリカは違う。わざわざ手紙に関係のある図柄を出しちゃうんだ」  魔法雑貨の中には、たまに意志を持つものがある。このシーリングスタンプもそうであるなら、きっと人に何かを伝えたり、表現するのが好きなのだろう。 「いつか、手紙が好きな人に使ってもらえるといいですね」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加