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 それを木製のプレートへ乗せると、一緒に燻製器へ入れてあった茹で卵を脇に添えた。こちらもいい色に仕上がっている。  お気に入りのアウトドアチェアに戻ってくれば準備は万端。目の前のローテーブルの上には、前日から準備し、とうとう完成した燻製料理と、香り高いスコッチウイスキーを使用したハイボールが並んでいる。 「よし」  瀧澤の口から、また独り言がでた。 「どうでしょうかねぇ」  歌うように呟いてナイフで肉を切ると、口の中へ放り込んだ。  弾力のある食感。噛めば噛むほどに、ほぐれた肉の繊維から旨味が溢れて出してくる。  瞳を閉じ、幸福を文字通り噛みしめてからハイボールを呷った。  抜群の相性だ。  正面に目を向ければ、夕陽の中の湖と自然が織り成す絶景。思わずなにかを祝いたくなり、瀧澤は杯を太陽へと向けた。
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