シンクロニシティ

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シンクロニシティ

夏休みがあけ、かれらの学校生活が始まった。 ある日、部室にアミと柾木だけがいた。 柾木はアミに訊いた。 「板垣さんが、すきなんですか」 アミはおしだまった。答えない。 突如大きな音がして、部室の「板目の」将棋盤が割れた。柾木はきびすを返して帰っていった。板垣が部室の外にいて、話を聞いていた。板垣は何の音だったのかと部室に入り、割れた将棋盤を確認した。 アミと板垣はユングの逸話を思い出した───。 心理学者ユングがその師フロイトにシンクロニシティ(意味ある偶然の一致)を説明しているとき、机が割れたと言うあの話だ。 フロイト(1856~1939)はオーストリアの精神分析学の創始者。 その夜、板垣は原因不明の高熱に見舞われた。
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