贈り物

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贈り物

板垣が柾木のうちに泊まってからしばらく経ったある日、泊めてもらったお礼に、板垣は柾木に、贈り物をした。柾木が包みを解くと、金属でできた銀色の猫だった。 「わあ、ありがとうございます」 「源頼朝のところに、西行が訪ねてきたんだよ。そのとき、頼朝は、西行に、(高価である)銀でできた猫の置物をあげたんだ」 「でも西行は、それをすぐに道端のこどもにあげてしまった」 板垣がわらった。 「うちは、伊豆と鎌倉に別荘があるんです」 柾木が言った。 「はっ?! 別荘が二つも?!」 板垣が驚いた。 「先輩は、源頼朝がおすきなんですよね」 「そうだけど」 「夏休み、一緒に、伊豆と鎌倉に行きませんか?」
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