旅行

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夏休み、板垣は柾木の別荘にお邪魔することにした。 頼朝は十四歳で伊豆に流され、そこで二十年ほどを過ごし、それから鎌倉幕府を開いたので、まず伊豆に行こうということになった。 伊豆旅行が始まった。かれらはまず、静岡の三島で、三嶋大社に参詣(さんけい)することにした。 三嶋大社は、伊豆に流されていた源頼朝が、源氏の再興(さいこう)を祈願していた神社である。 三島の街に流れる清い川桜川を眺めながら歩いていくと、三嶋大社に辿り着いた。 源頼朝と北条政子が腰掛けたという腰掛け石が、境内にあった。板垣は、左側の、頼朝が腰掛けたという大きな方の石に腰掛けた。写真撮ってよ、と、板垣はスマホを柾木に渡した。柾木は写真を撮ってあげた。それから、柾木は北条政子が腰掛けた方の石に腰掛けた。二人が並んで腰掛けたことになる。
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