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出会い
出会いは必然にして偶然だった。
雨の路地裏。弱々しく光を放つ“ソレ”は、
こちらに助けを求めているように見えた。
「どうしたんですか、」
“ソレ”は生き物ではない。
でも、どこか人間らしさを感じた。
理由は形にあった。
人の形をしたロボ。
もちろん人のような温かみはないし、
人間の体のような柔らかさもない。
でも、気づけば僕は、声をかけていた。
『....アナタハ、人間デスカ、?』
「うん。僕、芥川秀って言います、」
『芥川、秀サン、デスネ。』
「君は?」
『被験番号1デス。』
「若い番号なんだね、」
『違イマス。コレニハ意味ガ託サレテイルンデス。』
「へぇ、どんな?」
『...ソレヨリ、秀サン、濡レマスヨ。人間ハ雨二弱イノデハ?』
「ふふ、とんだ偏見だね、笑」
『前ノゴ主人様ガソウダッタノデ。』
「そうなんだ。ところで君のお家は?」
『アリマセン。』
「じゃあ僕の家においでよ。」
『....ハイ。』
こうして僕と被験番号1は一緒に暮らすこととなった。
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