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…嗚呼、偉鳥という人間は、私とは噛み合わないのか。
いい人だと信じていたしいい人だと思って今まで見てきたけど、それはすべてマヤカしだったか。
何処か可笑しくて、笑いが込み上げてきた。
これは後から思ったことだが、人間、本気で怒れたり落胆したり、悔しかったり悲しかったりするときは、笑いが込み上げてくる仕組みなのだろう。
はははっはははははははっ
笑いが止まらなくなったら、今度は涙まで出てきた。
「…泣いてんの?」
何処かヒンヤリとしていて、前までは好きだった、毒を帯びた偉鳥の声が電話越しに耳元でした。
「…うん。泣いてる」
「僕が、寧推に対して毒吐いたから?」
…なんか、この人と喋るって、疲れるな。早く、電話切りたいんだけど。
ぷつんと私の中でなにかが切れる音がしたのは、偉鳥に対しての、”好き”という気持ちが切れた音だったのか。
「それもあるけど、何かなんでお前なんか好きになったんだろって思ったら、笑いが止まらなくって。はははははっははははははははははははっ」
「寧推が付き合いたての頃、毒は時に地上最高の神秘の美しい液になり、時に地上最悪の存在となるねって言ってたけど…ほんと、その通りだったな」
もうこいつの言うことなんてどうでもいい。そう思ったら、言葉が耳に全然入ってこなくなった。
「ははははは…っ。さよなら。お前とはもう喋りたくなくなったわ。別れよー偉鳥くーん。カレカノも友達も全部やめよーもう。それじゃ、サヨナラ」
そう言って、電話を切った。
とても清々した、悲しくも有り、楽しくも有り、憤りたくも有る、不思議な感情にかられた。
…サヨナラ、同担のトモダチだと思っていた人間たち。
もうトモダチだとは、思わないからね。
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