/// 1.終わりから始まり

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/// 1.終わりから始まり

俺の名前は最強(サイコ)!天武最強(テンブサイコ)! 俺は今、まさに天寿を全うして多数の家族に囲まれ旅立とうとしている! 俺は控えめにみても天才! 物心ついた時から一度覚えたものは忘れない、そんなチートな能力と言ってもよいほどの才能を持っていた。 勉強なんてしなくても一度聞いたことは忘れない。スポーツだってなんでもこなせる。 東大現役合格の傍ら、サッカー日本代表として世界一の中心選手に、それと同時にベンチャー企業を立ち上げ数々の事業を成功させ、天武財閥として世界トップの企業として長く君臨した。 数々の業績を残した俺も寿命には勝てず今は自宅のベットの上。多数の息子、娘、孫、曾孫に囲まれゆっくりと眠るように命の終わりを感じている。 「この世に生を受け90年、もう十分生きた。あとは任せる。」 残されたものへの最後の言葉・・・ (あ~~~~死にたくね~~な~~~) 見せかけだけの言葉とは裏腹に本音はまだまだ生きて贅沢な限りを続けたい。 そんな思いに答えるように目の前には黄金の輝きが広がって・・・目を開ければ真っ白な部屋のような中心にポツンと一人立っていた。 (ん???なんだ???体が軽いな。でも自分の手足も見えない。自分をうまく認識できない・・・) きょろきょろと周りを見渡すが体を動かしているという概念が消失したように、ただただ視界が切り替わっているだけのようだった。 なんとなく自分が死んだということを実感する。 そして魂のようなものになっているのだと感じた。 「よく来ました。人類最高の魂よ」 脳に響くような声が聞こえ、その声の方に意識を集中すると、見目麗しい金髪美女が目の前に立っていたのをはじめて認識した。 「ここは?」 短く問いかける俺に目の前の美女はやさしく微笑む。 「ここは神界。私は神。終わりを迎えた魂を時折呼び寄せ、特別な人生へと送り込む世界」 「女神様・・・私は新たにどのような生を受けるのでしょうか?(うっしゃーー!チート転生きたーーー!やっぱ俺様特別なんだ!ふぉぉぉーー!)」 穏やかにもやさしく響く女神の言葉に、まるで騎士のような物腰で聞き返すもサイコの心はルンルンだった。 サイコは浮かれていた。ゆえにたぐいまれなる処世術を身に着け相手の表情を読み取り最善の回答を返すというサイコにとって当たり前のことを失念していたのだ。 ゆえに見逃していた・・・女神の左口角がヒクリとひきつったのを・・・ 「あなたの望むものを与えましょう。どのような力を希望しますか?たぐいまれなる今世の褒賞に可能な限りの能力を・・・」 「できれば・・・今世とは違った世界、例えば剣と魔法の世界のようなところに行けるのであれば、ひ弱ば私が生きていけるようなすべてを見抜く瞳に、誰にも負けぬ力と魔法を・・・(しかしさすが女神!超絶エロい体してやがる!もう少し巨乳なら俺様の嫁にしてやってもいいな!)」 女神の力を与えるという言葉にやはり来たか!と思いながらも控えめなようで大きな力を欲するサイコ。 「わかりました。かなえましょう・・・ほかには何かありませんか?」 丁寧な口調からは想像もつかない贅沢な要望に、女神のこめかみには控えめに見てもビキビキと力がこもる。 どうやら特別な俺様はまだまだチートてんこ盛りの希望が通るらしい・・・どうせならと思いつくままに答えてみよう。なーに後で取り繕えば問題ないだろう。だって俺様だし。 そんなことを考えながらサイコは、俺様が考えた最強の俺様!を思いながら女神に提言するのであった。 「ではレベルという概念があるのであればMaxで、力や知力などすべての能力も同様にMaxであらゆる体術や魔法、技能など全ても習得できる・・・いやっここまではさすがに欲張りでしたでしょうか・・・私も急に訪れた転生という転機にいさかか混乱しているようですね・・・(おっし!こんだけ言えば多少はかなえてくれるだろう!多少はかなわなくてもまあいいか!俺様だし!さあ女神!さっさと俺様に力を注ぎこみやがれ!)」 最後にとってつけたような言い訳にも女神の返答はおだやかであった・・・うわべだけは・・・ 「わかりました。あなたの世界のゲームという遊び的に言うのであればすべてMaxのレベル999、力9999、守9999、知9999、足9999、あらゆる魔術、スキルを習得可能な健康な体とすべての言語理解する能力を与えます・・・(これだけ付与してもまだ余る今世の徳ポイント持ちなこいつやばいな・・・しっかしむかつく・・・)」 慈悲深い言葉とは裏腹に内心は煮えくり返っている女神。それも当然、この空間において女神はサイコの心すら読みとっている。 そう・・・先ほどからの失礼極まりない言動も、すべて伝わっているのだ。 「ありがとうございます。美しき女神様。次の生も世のため人のため、与えられた能力をすべて発揮して尽くさせていただきます(これ決まったな!これで落ちない女はいないっ!まあチートてんこ盛りだし面白可笑しく生きてくのもいいか。さあっ!早くっ!異世界転生をっ!かもぉぉぉんっ!!!)」 心にもないことをのたまった俺様サイコは女神の次の言葉をまった。 「では・・・願わくば次の生も祝福に満ちた人生を・・・」 目の前にまたも黄金の光が広がり魂となったからだが吸い込まれていく感覚を覚える・・・ 「行きなさい。人類最高の魂よ・・・・・・FA〇K!!!」 薄れゆく意識の中で女神の不穏な言葉が聞こえたような気がしたサイコだが気のせいかと思い忘れることにした。 しかし女神よ。なぜ最後まで我慢できなかったのか・・・
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