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集落の人間が襲われることも多々あり、見かけ次第退治をするのが習わしだ。
かつては集落の巫女が、討伐の任に当たっていた。
巫女亡き後は、集落の男たちが担っている。
森は背の高いぶなの木に取り囲まれている。
伝承によれば神代の昔からあるらしく、長い時を生きた木特有の静けさと荘厳さが、地上を満たしていた。
こんな雪の日は薄暗く、空気が冷えきっている。
空は灰色。
落ちてくる白が、地面に落ちては柔らかく溶けていく。
前を歩く弟子が、一瞬心配そうにこちらを振り向いた。
子供は余計な気遣いをせんで宜しい。
青太郎は手で払う動作をした。
「で、どこら辺が光ったって?」
「社のある辺りですね」
こっちですよ、と弟子は慣れた足取りで木の根を越え、立ち枯れた雑草を払い除けていく。
その後ろ姿をぼんやり見ていた青太郎は、急に心臓の掴まれる心地がした。
風に混じり、知ってる匂いがする。
口の中にまで広がる、生臭い匂い。
ーー深いところから出る血の匂い。
「……師匠?」
立ち止まった青太郎を、弟子が不安そうに振り向いた。
既に誰かが襲われた後なのかもしれない。
咄嗟に弟子の腕を掴み、辺りを見渡した。
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