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酒ではない何かでぐずぐずに蕩かされた身体は、タケルの意思に反して、至極安易な方へと流れていく。とうに帯も解かれ、着物も剥ぎ取られて、久我の手によって幾度も吐精させられていた。
内側に溜まる熱を放出するたびに、怒りと恥辱で心が焼き切れそうになる。
それなのに久我の大きな手が胸や腹を撫でるだけで、官能の波に悶え、溺れ、それを意識することでまた中心があっけなく昂ぶっていくのだった。
「強情な奴だな」
久我の指が胸の尖りをわざと掠めた。たったそれだけで、自分のものとは思えない甘い声が出てしまう。餓えるように捩り、腰をくねらせた己を恥じて、どうにかしてすべて抑え込もうとしたが果たせない。悔しくて情けなくて、タケルの目に涙が滲んだ。
背後から抱きしめられているから、後ろ手に縛られている体勢が苦しいのに、そのことが逆に作用してタケルは悦びにのけぞった。
「んっ」
「おまえの名は聞いた。だが、覚えがない」
そうだろう。当たり前だ。当時はまだほんの子供だったし、誰にも目を付けられていなかったはずだ。
「それに顔も知らぬ」
「……っ、はっ、……ん」
すっかり立ち上がっている胸の粒を指先でこねられ、みっともなく喘がされる。
熱く滾る肉塊が先ほどからずっとタケルの尻に当たっていて、心とは裏腹に、欲しくてたまらない。隠しようもない自分の欲望は天を向き汚濁に塗れていた。
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