タケル 1

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「俺にいつ、どこで会った?」  もう一方の手が、肉の薄い腹を撫で、思わせぶりに下方へと移る。焦らすような動きに耐えられず、また腰を揺らめかせてしまった。  悔しくて、ぐっと噛みしめる。やり過ごそうと身を堅くするが、睾丸をやわやわと揉みしだかれ、甘く息が弾んだ。 「ほんとに覚えがねえんだ。最近じゃねえよな」  誰が言うか、と思った途端、その手が悪戯するように会陰を擦った。 「あああっ」  びくびくと身体に電気が走り、あられもない声を上げてしまう。怖いくらいに感じ入り、震えが止まらない。  尖端からはまた堪えきれない露が、間欠泉のようにだらだらと垂れていく。 「火盗は二度目だ。それまで俺は長く江戸を離れていたんだよ」  そんなことはとうに知っている。江戸に戻ってくるという知らせにどれだけ歓喜したことか。  タケルは気息を整えようと、熱を帯びた身体に気を込めた。 「ふっ、なんだその面ぁ。先刻承知ってとこか」 「あ、ああ、んっ」  耳を囓られて、おかしな声が出た。  長く恨みを募らせている相手に、ここまでいいようにされるなど、腹の虫が治まらない。 「上方で会ってるとも思えねえし、まあ普通に考えるとやっぱり前の火盗のときか……」  会陰を弄る指が奥に伸びて、すぼまりをぬっとこじ開けられた。  野菜や茶碗を検分するのと変わらない、具合を確かめるだけの無造作な仕草だ。遠慮のない指が中に入り込み、押し込んで引いて、ぬぷぬぷ水音を立てる。 「その頃おまえいくつだ」 「知る、か。……もう、もう後生、苦し……」 「嘘をつけ。良さそうにしやがって。こっちも楽しませろ」  この男に許しを請うなど業腹なのに、言葉が口を突いて出る。なんの余裕もありはしなかった。 「だ、めだ、また出、あ……」 「へええ」  冷めて掠れた笑い声が耳と振動で伝わる。  力が入らずされるがままに尻たぶを掴まれて、秘部に灼熱をあてがわれた。タケルが辛抱できずに何度も爆ぜているだけで、久我の方はまだだ。  硬く、漲っている、これが入って来る、と思うだけで内部がうねる。胸が高鳴り、全身で期待する。あさましい自分の熱を心から憎んだ。 「……ふあっ」  瞬間、穿たれた衝撃に、眼裏が明滅する。  熱風が脳天を突き抜け、その刹那意識を飛ばした。  我慢の甲斐無くまた精を漏らし、充溢に苦しいのに悦びに打ち震えた。
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