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「これは、子供用で親に監視されるヤツだ。覗いたサイトとかも連絡される。注意して使えよ。GPSは切ってるか!まあ用心に越したことは無い、気を付けろ。」
そう言って男は結希にスマホを返し、どこかへ消えて行った。
【くそ〰!まさか居なくなるとは?】
勤は苛立ってぃた。自分の性処理のオモチャが無くなり、溜まってきての苛立ちと結希への執着からだった。
【スマホの電源切ってやがる。】
勤は柳に電話した。
「あの〰、娘が家出しまして、如何したら良いか?ご相談を。」
「はい、分かりました。では明日ファミレスで。」
亜江はきっぱり言い切り電話を切ろうとすると、
「あの~表は人目もありますし~。」
「三角さんあなた前が有りますよね?私は二人きりで密室で会うような事は、できませんので。」
プープープー
【切りやがった!結希にチクりやがったか?この女?】
次の日、勤は指定されたファミレスに向かった。亜江は既に来ていた。
「娘さんはいつ?」
早速亜江は切り出した。単刀直入に、
「三日になりますかね?」
勤は亜江から眼を逸らしコップを眺めながらぼやいた。
「では?警察に届けを出しては?」
亜江は毅然とした態度で対峙していた。
「いえ〰、事を大きくしたくないもので。」
勤はコップを凝視しながら続けた、
「そちらで、対応は?」
「では、調べてみます。」
言い終わると亜江は席を立ち出て行った。
【何だ?あの女、いけすかねい女は!今度犯すか?】
亜江は帰庁した。
「三角さんの所はどうだったんだ?」
上司だった。
「異常ありません。」
机に眼を向けたまま答えた。上司は頭を掻きながら、ぼそぼそと、
「そうか。」
と言い離れて行った。
【結希ちゃん無事でいて。】
亜江は天井を仰いだ。
フェリーは大間に着く寸前だった。
「お前さんとはここでお別れだ。」
男はいきなり戻ってきて告げた。
「え?」
「大丈夫。見つけてきた。九州まで行けそうな運ちゃんを。」
「え?」
「安心しろ、身元も平気そうだし男気はありそうだから。」
「すいません、ありがとうございます。」
フェリーの下船のアナウンスが流れた。
「じゃあ、すいません。こいつを頼んます。」
「ああ。嬢ちゃんこっちだ。」
背中を向け去って行く、
「私、結希。三角結希。」
男の背中を言葉が追いかけた。男は振り向き、
「良也!だ。」
それだけ言い、踵を返し去って行った。
「なかなかの男だな。」
運ちゃんは結希を導きトラックに乗せた。
沙樹は投稿を待っていた。
【あまりこっちから連絡してもストーカみたいだし、って俺歩けねえし。】
〔北海道の渡り鳥 今日も元気に通学で~す。〕
【やっと着た】
〔九州の狼 元気そうやな!イジメは大丈夫か?〕
〔北海道の渡り鳥 うん、この所い落ち着いてる〕
その通りである。なんせ結希は学校で無く、今はトラックの助手席なのだから、
結希は電源を切った。
「嬢ちゃん。」
結希は急いで、
「結希で良いです。」
「あ!そう言ってたな、三角結希さん。」
「呼び捨てで。」
「あい分かった。結希、事情は聞いたあの男から、先ず福島に寄る。それから東京、大阪、広島、北九州の順だ。最終地は?」
「あ、久留米医科歯科大学病院です。」
「そこにお袋さんが?」
「いえ、ごめんなさい。SNSで繋がった友達が。」
「大丈夫なのか?そんな伝手で?」
「いえ、会いたいだけなんで。」
「そうか、結希が決めたならそれで良い。全力で援助する。」
「ありがとうございます。」
結希は深くお礼を述べた。
「少し寝ろ、福島まではだいぶある。ただ荷下ろし中は何所かで待って居てくれ、こんな可愛いお嬢ちゃんを乗せて歩いてるって知れたら、噂がすぐに発つからさ。」
「はい、少し寝ます。おやすみなさい。」
結希が家を出てから3日の時間が過ぎていた。
夜が明け昼過ぎに福島へ着いた.
「ここらは大丈夫だと思う。東電や政府の発表等あてにならんが?せっかく通るんだ。人生勉強に見ときな。俺は京文夫だ。電話番号も教える。17時ぐらいにここに来る。居ない時だけ電話しろ、電源は入れるなよ。」
「はい京さん。」
「文夫で良い。」
「文夫さん。」
「良し、パン持ったか?はい。」
「済まんな、急ぎだったから、そんなパンしか無くて。」
「いえ。」
「じゃあ後で。」
文夫は結希を降ろし、経由地へ向かった。
【へ〰、ここがあの地震の原発の近くなんだ。】
結希は原発を望める展望台にやって来た。遠くに原発が観えた。
【鬼畜が私のパパになった年か】
結希が3歳の時の震災であった。
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