1人が本棚に入れています
本棚に追加
勤は望を亡くしてから、結希とお風呂を毎日一緒にしていた。2年生ぐらいまでは、疑問に思わなかったが、それからは少し違和感を感じていた。
「結希、お股は丁寧に綺麗にしないとね‼足を開いて。」
いくつになっても、父は結希の体を頭から足の先まで、念入りに洗ってくれるのだった。
特に胸やお股は念入りに。
「ねえ、聞いた?三角さんのお父さん犯罪者なんだって!」
クラスのある子からの情報だった。それは瞬く間に広がった。
「小学生を悪戯したらしいよ?」
情報元は言い出した子の母親からだった。
しかし、結希の耳には入らなかった。孤立していたからである。
そして周囲は以前にも増して、遠巻きに結希を避け、陰口をたたきイジメは更にエスカレートしていった。
6年生になると、更に状況が悪化する。
いつもの様にお風呂に一緒に父と入っていると、指がお股の奥へ入れられたのである。
「いや、お父さん止めて。」
「黙れ‼大人しくしろ。」
勤は結希を玩び、結希の目の前で自慰をして果てた。
「周りに言ったら、殺すぞ‼」
信じられない父の豹変だった。
それからは家の至る所でいじられた。
声が漏れると、
「黙れ‼」
っと口を押さえられ声をかき消された。
『ピッポン』
誰か訪問者が来た。
「はい」
勤が出た。
「児童相談所の柳亜江と申します。」
「は〰、で何か?」
ぶっきら棒に勤が答えた。
「いえ~、ご近所から通報があり、子供の・・・・」
亜江が言葉に詰まった。
「はい?何ですか?」
「あの~、喘ぎ声が聞こえたと。」
言葉切れ悪く亜江が問うと、間髪入れずに、
「あ〰、娘が寝た後、デリバリーヘルス頼んだので、それですね‼」
っと勤はきっぱり言い切った。部屋の奥の扉の隙間から、そーッと結希が覗き込んでいた。亜江は一瞬目をやり、気が付いたが、結希は直ぐに隠れ、
「あ!じゃあ、良いですね‼」
っと勤は強引に扉を閉めてしまった。
【何か?怪しい?】
亜江は帰庁し直ぐに上司へ報告した。
「三角勤は何か?隠しています。」
「27位のお前に何が分かる?感か?平成のこの時代、でしゃばると叩かれる、昭和じゃ無いんだ‼大人しく上の指示に従え、訪問した事実だけ残せば言い逃れできる。」
亜江は黙って席に戻った。
しかし、勤の過去を洗い出そうと決意していた。
結希は学校でも家でも居場所を無くした。放課後は公園でベンチに座り、ただ、ボーと空や地面を眺める毎日だった。時間が来ると仕方なく家へ戻り、また、悪戯されるのであった。
「スマホ持て!ほら。」
勤からそう渡された。それには、GPS機能が搭載されていた。
「居なくなっても直ぐに探せる‼無駄な事は考えるなよ‼」
脅しかけるよう結希を威圧した。
そんなある日、公園にいつもの様に座っていると、亜江がやって来た。結希は気が付かずボーっと空を眺めていた。
「三角結希ちゃんよね?」
突然の呼びかけに少したじろぎ、
「はい」
「お姉さん、この間お家にお邪魔した、柳って言うんだけど、何か?困ってることない?」
首を慌てて横に大きく振り
「無いです‼」
っと返事をすると、結希はその場から急いで立ち去った。
「待って‼」
亜江の叫びも虚しく響くだけで、結希は振り返りもせず、消えて行った。
【三角勤には前科がある‼】
亜江は調べ抜いていた。しかし、如何する事もできず。結希を訪ねたのだった。
家ではこの所、毎日玩ばれていた。ただ、幸いに、まだ、勤の自慰行為の鑑賞と高揚の為の悪戯で済んで居た。
「舐めろ‼」
結希の前に勤の露出した下半身が晒された。「いや‼」
顔を背け抵抗した。しかし、顔を押さえられ無理やり口に押し込まれた。
「うう。」
勤は結希の口の中で果てた。
「ゴホゴホゴホ。」
結希は射精物を吐き出し噎せた。
「慣れろ‼」
勤はそう言いその場を去った。
結希は恐怖心と悲しみに打ちひしがれていた。
結希は学校でも男子の色目に晒され始めた。
「三角ィ〰!今度俺んち来いよ‼」
無言で無視してその場を立ち去ろうと相手の横をすり抜けようとした瞬間、男子数人の手が結希の胸に伸びた。
「いや‼」
大声で叫んだ。その声にたじろぎ手が離れた瞬間に立ち去った。
「減るもんじゃねえし!良いだろう。少しぐらい。」
男子生徒達は薄笑いを浮かべ言い放った。
結希は、いつものベンチに座り、心を慰めていた。
「結希ちゃん。」
亜江だった。
「良い?下の名前で呼んでも?」
結希は無言で頷いた。
「今日は一段と、落ち込んで無い?」
結希は首を横に振った。
「そう?何でもいいから話して?」
最初のコメントを投稿しよう!