沢山の嘘と一つの真実

6/20
前へ
/20ページ
次へ
「学校は違えど!何か遭ったら必ず駆け付ける!」 半示は強い口調で言い放った。 「おう!当たり前だ!俺も必ず‼」 沙樹も熱い心で応答した。 卒業式の日二人は熱く契りを交わし別れた。  中学に入るとサッカーは続けていたが、勉強の押し込み作業の毎日だった。 「お前は俺の後を継ぐ人物になるんだから、人としてそして勉学でも一流を目指せ!」 父は常に高いハードルを沙樹に課していた。 沙樹もそれに、全身全霊で答えていた。 そんな頃、沙樹の前に現れた。 「沙樹君、私先輩にレイプされるの。」 高橋レーラだった。 「え?何故?俺に?」 「小学生の時からあなたをずっと眼で追ってた。あなたなら助けてくれると思って。」 沙樹は知らなかった。レーラの存在も、 「で?誰で幾つぐらいなんだ?」 「それが、20歳ぐらいの男達で無理やり車に押し込まれて、分からない所へ連れ込まれて。」 涙を潤ませながら訴えていた。 「その後は、その時撮られた動画や写真をばら撒かれたく無かったら、指定場所へ来いって。」 沙樹は黙ってレーラの話しに耳を傾けて居た。 「で?連絡はどうやって来るんだ?」 「テレグラムって言うのを最初の時に入れられて、それに月一ぐらいで連絡が来るの。」 「分かった。取り合えず連絡が来ても直ぐに応じるな‼俺とライン交換しよう。」 頷きながら、レーラは沙樹とライン交換をした。  レーラはUAEと日本人のハーフで容姿端麗で誰から見ても美人だった・。 【気が付かなかった。レーラみたいな子が小学校からの同級生だったなんて。】 沙樹は一目惚れに近い感情を抱いて居たが?奥手の故にそこまでは気が付かなかった。 〔九州の狼 今日レーラって子に相談されたんだが?どうも?レイプされてるらしくて。〕 〔人切り え?んで?何でお前に告った?〕 人切りとは、半示であった。名前が中村半次郎と被るし、九州男児のヤンキーには受けも良かったからだ。しかし、今時の若者で人切り半次郎を知る者も少なく、半示の性格や容姿、行動等から人切りのイメージを連想して居る者が多かった。 〔九州の狼 お前、格闘技も始めたんだってな?〕 〔人切り ああ、だから喧嘩の助っ人はもうできねえぞ!〕 〔九州の狼 いや!その先輩の伝手を使って 犯人を調べられないか?〕 〔人切り うぅん?お前やけに肩入れしてるな?どうした?〕 〔九州の狼 いや?頼まれたから仕方なく。〕 〔人切り お前は親の跡を継ぐ身、黒歴史残すんじゃね〰よ‼〕 〔九州の狼 いや。しかし〰。〕 〔人切り 惚れたな?さては?〕 〔九州の狼 違う!そんなんじゃない〕 〔人切り ふ!まあ良い。調べてみる。お前の初恋は応援したいし。〕 〔九州の狼 頼む。〕  一ヶ月後半示からラインが着た。 〔人切り 分かったぞ、先輩達の絡みで、そこから離れたぐれ者らしい。格闘家は暴力や犯罪には手を染めるな‼が師範の第一の教えだが、それを破り破門になった奴等らしい。悪い事は言わねえ〰‼親を使え!バックにはかなりのでかい裏が付いてるって話だ‼〕 〔九州の狼 ありがとう、で?相手の居場所や名前は?〕 〔人切り お前一人で動くなら教えない!親父さんと三人の席なら教える。〕 沙樹は少し間を置き、 〔九州の狼 分かった。親父に話してみる。〕  その後数時間を置きレーラからラインが着た。 〔レーラ 連絡が着ました。どうしよう?〕 〔九州の狼 調べは付いてる。ただダチがどうしても親の力を使えって、本望じゃ無いけど頼むしかない。もう少し待って。〕 〔レーラ ありがとう。頑張ってみる。処でどうしてハンドルネームが九州の狼なの?〕 レーラと事件絡み以外の会話は初めてだった。 〔九州の狼 いや〰、ただ何となく一匹狼が好きでそれで。〕 〔レーラ 似合ってるかも、私もかえよ~っと。何か良いハンドルネームある?〕 沙樹は悩んだ。その結果、 〔九州の狼 九州の女狐?は〕 〔レーラ うん、そうする。〕 〔九州の狼 良いの?俺の勝手な思い付きで?〕 〔九州の女狐 好きな人に付けて貰った名前大事にするね。〕 レーラは既に変えていた。 〔九州の狼 早え〰!親父と話が付き次第、連絡する絶対に動くなよ。〕  その日は父の帰りが遅く話せなかったが、翌朝、母に頼んで措いたので朝食時に話す機会を得た。普段は朝早くから出掛けてしまい、帰宅できる時も疎らだがタイミングよく会うことが出来た、 「父さん、実は友達がレイプされてて、助けたいんだ。父さんの力がいる。お願いします。」 「珍しいな、お前が俺に頼み事なんて。分かった。」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加