沢山の嘘と一つの真実

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「で、ダチが調べを付けてあるから、それを一緒に聞いて欲しいんだ。お願いします。ダチが父さんと一緒じゃなきゃ教えないって。」 「その子は聡明だな、お前の性格を見抜いてるな!猪突猛進のお前に直接教えたらどうなるか?先を見抜いてる。」 【そうか?半示はそこまで?】 半ば半信半疑で、 「すいません。お時間を就くって下さい。」 「急ぐのか?」 「はい、次の催促が着てるらしいので。」 「解った。早急に手配する。」 父は話しながら食事を手早く済ませ出て行った。 「沙樹、良い友達を持ってるわね。将来必ず助けになる。大事にしなさい。」 沙羅の一言だった。 「はい。」 食事を済ませ学校に向かった。  学校に向かいながら、 〔九州の狼 親父に話した。早急に時間を取ってくれるって。〕 〔人切り 了解。連絡待ってる。〕 その手でレーラにも 〔九州の狼 親父には頼んだ。もう少しの辛抱だ。〕 〔九州の女狐 ありがとう。愛してる。〕 【え?愛してる?え〰?】 沙樹は動揺して立ち尽くしていた。 ん?我に返り歩き始めたが、心の中はレーラの言葉で埋め尽くされていた。 その後もその言葉は脳裏から離れなかった。  数日の後、三人は沙樹の家で会う事になった。 「初めまして、中村半示です。お初にお目にかかります。」 「ああよろしく、いつも沙樹が迷惑を掛けて済まん。して。」 父が先へと促した。 「はい。」 半示は間を置き 「この地域の指定暴力団の傘のかかった。グーチと名乗る人物らしいです。本名は川口知宏です。空手を習っていた時の伝手で判明したので、間違いないです。周りに若いハーフの子をオモチャにしてる。っと、そしてその内、皆にも回してやると言いふらして居るようです。」 沙樹は父親に目をやった。 「解った、手を回す。君達は手を汚すな、大事な将来を背負う若者達なのだから。」 沙樹は父の目を見て安堵した。そして半示に目を移し頷いた。 「では、失礼致します。」 半示は深々と頭を下げ出て行った。 「じゃあ!」 沙樹に一言残して。 「なかなかの逸材だ。沙樹大事にしろよ。」 「はい。」 沙樹は足早に立ち去る父を見送った。 「中村君なかなかの九州男児ね。あの人を前に身じろぎ一つしないなんて、すごいわ。」 【へ?なにが?】 沙樹には分からなかった。産まれた時から目の前に居る父親の威厳さなど。 〔九州の狼 話しは付いた。安心して、もう少しの辛抱だ。〕 〔九州の女狐 愛する人へ、ありがとう。〕 またまたのストレートな愛情表現に面をくらって居ると、 〔人切り なかなかの大丈夫やな!お前の親父。家の親父もなかなかしぶといがすげえは。〕 沙樹は苦笑いした。似たり寄ったりのお互いの評価に。  暫らくすると、ラインニュースで報道された。 『熊本県の指定暴力団の手先のグループのリーダー、グーチこと、本名川口知宏(21歳)が振り込め詐欺等の多数の容疑で逮捕された模様』 〔九州の女狐 ありがとう。テレグラムの名前の人だわ。たぶん、最愛の人、shank you。〕 それと同時に 〔人切り 良かったな、今度その子紹介しろよ。〕 沙樹は慌てて 〔九州の狼 なあ、彼女すげーダイレクトに愛情表現してくるんだけど、ハーフだからかな?〕 〔人切り 何?ハーフだと?俺様でもまだ、日本人しか手をだせないのに、お前がハーフ?〕 〔九州の狼 そうなのか?そういうものか?〕 〔人切り やってらんねえ!じゃあな。〕 苦笑いを浮かべながら 〔九州の狼 ひと段落着いた。今回手伝ってくれたダチに紹介したい、大切な人へ。〕 沙樹は初めて女性に気持ちを漏らした。 〔九州の女狐 嬉しい中村君を紹介してくれるなんて、それに最後の言葉も。〕 〔九州の狼 何で?半示の事知ってるの?話したっけ?〕 慌てて聞き返すと、 〔九州の女狐 ず~っとあなたを見続けてたって言ったでしょ!あなたの大切な親友って中村君以外居ないじゃない。最初は犬猿の仲だったけど。〕 【そこまで見てたのかよ?いつからだよ?】  沙樹はレーラを伴い半示に会う事にした。場所は半示と二人だけの時に使う、隠れ家的な喫茶店だった。昔良く父親が連れて来てくれた場所だった。 「お待た!」 沙樹が声を掛けながら入って行った。その後にレーラが軽くお辞儀をしながら続いて行く、 「初めまして。」 レーラが挨拶すると 「初めてじゃね〰じゃん!俺お前口説いてる‼見事に振られたけど。」 沙樹はレーラに目をやった。レーラは小さくこくりと頷き沙樹に合図を送った。 「何だよ〰!もうアイコンタクトかよ〰。俺でも3年掛ったのに!」
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