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亜江に見せながら微笑んだ。
「返してみれば?」
亜江の言葉に勇気を貰い、
〔北海道の渡り鳥 はい、正反対ですね。〕
始めて二人の意思疎通の訪れだった。
横から覗き込んでいた亜江は、
「もっと気の利いた事聞きなよ〰。」
っとからかった。
「え〰、これが精一杯ですよ〰。」
二人は笑い合い時は過ぎた。
〔九州の狼 お返事ありがとう。あなたは?何歳?僕は2010年2月11日産まれの13歳〕
【え?同じ日】
〔北海道の渡り鳥 同じです。建国記念の日!〕
〔九州の狼 え?こんなに離れて居るのに?なんて偶然。〕
〔北海道の渡り鳥 そうよね‼凄い。〕
二人の心の距離は一気に縮まった。
「おい!ちょと来い。」
勤だった。部屋は九州の狼との密室にしたくなったので直ぐに出た。
「舐めろ!」
結希は既に逆らわず、言う通りに従う奴隷と化していた。しかし、この時は違って居た。【彼と繋がっている】
結希はサッサと済ませ時を待った。
「ふ〰、気持ち良かったぞ。上手くなったもんだ。」
満足げに煙草を吹かし手で結希を追い払った。
【クズ!】
結希は学んでいた。勤は自分が指示を出す前に動くと機嫌が悪くなり、再度要求するので、動かないのだ。
〔北海道の渡り鳥 あなたの親はどんな人?〕
結希は自分の境遇とリンクする事を望んだ。
〔九州の狼 素晴らしい人だよ、全てを受け止め守ってくれる。〕
結希は落胆した。
〔九州の狼 あなたの親御さんは?どんな人〕
結希は嘘をつく
〔北海道の渡り鳥 私の家も同じ‼そこも同じだね。〕
結希は彼を失いたくなかった。だから、同じにしなければ捨てられてしまうんじゃ無いかと思ったのだ。
〔九州の狼 そうなんだ!そこも同じ何だね。〕
沙樹も同じく嘘をつこうとしていた。健常者であると。
〔北海道の渡り鳥 じゃあおやすみなさい。また明日ね。〕
〔九州の狼 うん、また明日!〕
この日から欠かさず毎日やり取りが始まった。
沙羅は沙樹の主治医に呼ばれていた。
「沙樹君の奇跡もここまででしょう。」
沙羅は沙樹の前に現れ、
「先生、頑張ればまだまだ良くなるって。」
沙樹はじーと母である沙羅の眼を見つめていた。沙羅は耐え切れず話しながら眼を背けた。
【僕はここ迄なんだ。】
沙樹は悟った。絶対に眼を見て話す沙羅が眼を逸らした事で。
「うん、頑張る。絶対負けない。」
沙樹の精一杯の強がりだったが沙羅は気が付かずに、
「そうよ!頑張りましょう。」
と告げてしまうのだった。
「・・・・・っと伝えました。」
夫への報告の電話だった。
「沙羅、沙樹は俺達の子だぞ、もう悟ってるよ。」
沙羅は驚きと供に涙が溢れ出た。
「泣くな!泣くなら俺の前だけにしろ、人に見られて沙樹の耳に入れば更にあいつを傷つける。解ったな。」
「はい、大丈夫です。トイレの中で電話してます。」
しかし、沙羅の声は涙で噎せ返り言葉になって無かった。
「何を言ってるか聞き取れんが、気持ちは伝わってる。沙樹の前では涙は見せるなよ。済まん大変な時期にそばに居てやれなくて。」
彼は解散風の中で東京を離れられずにいた。
〔北海道の渡り鳥 おはよー早すぎるかな?寝てるよね~、何だかワクワクして早く目覚めっちゃて💧〕
しかし直ぐに
〔九州の狼 おはよー‼北海道の渡り鳥さんよく眠れたかな?〕
【え?ワクワクもう返事が、何書けば?】
〔北海道の渡り鳥 お互い早いね!ウクライナ大変だよね。〕
〔九州の狼 僕らはまだ平和だね。ウクライナでは子供や乳幼児にまで被害が😢戦士も足を無くしたりして、複雑だよね。〕
【やはり、心の広い人なのね】
〔北海道の渡り鳥 うん、私達はまだ良いよね✌〕
二人とも《まだ》っとカキコしている。誰も気づかぬ言葉のリンクはやがて感情のリンクにも繋がっていく。
〔九州の狼 うん、自分の祖国を守る。昔は日本もそんな歴史の繰り返しだった。〕
【頭もよさそ~、あたし会話に憑いて行けるかな?】
〔北海道の渡り鳥 うん、広島や長崎もあったもんね。〕
結希は彼に合わせられる、最大の知識を絞り出し必死に肩を並べようとしていた。
〔九州の狼 大東亜戦争はいたしかない、そこまで日本は追い込まれていたし、明治維新からの流れもあるから。〕
【大東亜戦争?第二次世界大戦じゃ無いの?】
結希は慌ててググって観る。
【あ!同じなんだ、言い方が違うだけで。】
〔北海道の渡り鳥 うん、大東亜戦争は沢山の日本兵さんが亡くなったって。〕
〔九州の狼 ああ、でもアジア地域はあれで、植民地から脱した国も多い。〕
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