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「おはよう、ミヤビ」  8時ごろ、母親がミヤビの部屋に入ってきた。 「……おはよう、お母さん」  ミヤビは母の方を見る事はなく、机に向かったまま彼女へそう答えた。一方、隣に座っているルーシーは体の向きを母の方へと変え、笑顔で答える。 「おはようございます、お母様。今はミヤビと来週の模擬試験へ向けて、演習問題を繰り返して解いているところです」 「そう。良いわ、続けて。前回の模試の結果は散々だったんだから、次は頑張らないとね、ミヤビ」 「………うん」  気のない返事をするミヤビに構わず、母は部屋を後にした。部屋には再び沈黙が訪れ、鉛筆が紙を擦る音だけが聞こえる。 「………ねえ、ルーシー」  問題を解く手を止めずに、ミヤビが口を開く。 「何でしょう、ミヤビ」 「私と……私とあなたの違いって何?」 「………どういう意味ですか?」  少し考えたルーシーだったが、首を傾げてミヤビに聞き返す。彼女の笑顔はとても自然で、いやあまりにも自然で、ミヤビには気味が悪いくらいだった。 「いや、何でもない」  そうして、数年の時が流れた。
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