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「おー来た来た、ミヤビー! こっちこっち!」
待ち合わせ場所の駅前で、カレンがミヤビに手を振る。
「カレンちゃん! ごめんね、遅くなって。準備に時間かかっちゃって」
小走りで来たミヤビが、息を切らして言う。
「まだ5分しか経ってないよ、大丈夫。てかちゃん付けで呼ばないでって言ったでしょ?」
「はは、そうだったね、カレン」
「あれっ、でもミヤビ、塾あるんじゃなかった?」
その質問を待ってましたと言わんばかりに、満面の笑みを浮かべてミヤビはピースをする。
「へへへ、お母さんに嘘ついて、今日だけサボっちゃった!」
「ははは! 学校でも何となくそんな気してたけど、ミヤビってやっぱりちょっとワル? 今日は楽しくなりそう」
駅前を後にした二人は、そこから近くにある、映画館へと来ていた。
大方二人の予想通り、ミヤビはホラー映画が大の苦手であったようで、映画館から出て来た後もミヤビは涙ながらに鼻を啜っていた。
「ははは、もうあんた泣きすぎ! 映画もう終わったよ、大丈夫? もうその泣き顔が面白すぎて、途中から全然映画に集中できなかったじゃんー」
「いや……うっ、グスっ……ご、ごめん」
顔を覆いながら、ミヤビはピッタリと肩をカレンに寄せる。
「もう、近いってば! まあ良いけどさ、あはは。そんなんじゃプリクラ盛れないよ?」
「プ…プリクラ……?」
「あんたまさか……てか、さっきもクレープ初めて食べたって言ってなかった? はあ。もう良い、見せたげるから。行くよ!」
そうしてカレンに連れられ、すっかり辺りが暗くなるまでミヤビは街中を満喫した。クレープにホラー映画、プリクラ、更には友達と街中を散歩するということすらも全てミヤビには初めての体験であった。
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