140人が本棚に入れています
本棚に追加
手芸好きの平凡君は、誰も来ない学校の旧館階段の踊り場でいつもこっそり作品を作っている。
するとある日、美形の男子が休んでいた。
「雑誌モデルやってる先輩だ。凄い綺麗。ていうか、作品仕上げたかったけど仕方ない、帰ろう」
一瞬見とれたけど通り過ぎる。次の瞬間胸に抱いていたビーズケースの蓋が開いて、パールやビーズが美形の頭めがけて散らばってしまった。
「!?」
美形が驚いて目を開けると、様々な色が光に反射してキラキラきらめいていた。
その向こうに必死にあやまる平凡君の顔。大きな黒い瞳が美しかった。
一緒にビーズを拾い、それがきっかけで階段で会うようになった二人。
平凡君は美形君の束の間の睡眠を奪うような気がしてたけど美形君が楽しそうだから嬉しいし、たまに膝貸してと寝転んでくれるのが嬉しくてドキドキして恋だと気づく。
言えない思いを自作ピアスに託してプレゼント。美形がそれをSNSで流したことで大バズり。誰が作ったか追跡され平凡君の日常は平凡ではなくなる。
皆に持て囃され注目を浴びる平凡君。他の子にアクセサリーを依頼されたりして純粋に嬉しくてプレゼントしちゃう。
「面白くねー、あいつは俺の……えっ、「俺の」って何? 俺ってもしかして」
癒やしの存在だっただけの平凡君への恋に気づく美形。
そこからめちゃめちゃ独占欲丸出しで平凡にくっつく美形。
平凡君は嬉しいけど好きのベクトルが違うんだろうなーと切ない。
言えない思いの丈をアクセサリーに託してプレゼントするが、美形は身につけてくれなくなる。
「僕から貰うのがもう迷惑なんだ」
すれ違う二人。ちょっとずつ離れる平凡君。
「なんでだよ、急に」
「急には先輩でしょ、迷惑ならはっきり言ってよ」
「んなわけあるか、お前がこれ以上目立つのが嫌なんだよ。俺だけの為に作って欲しいんだよ」
「それって」
「好きだ!」
「僕も゚゚\(´O`/)°゜゚」
五年後、大人気モデルとなった美形と進気鋭ジュエリーデザイナーの元平凡君は恋人同士としても有名。
平凡君のデザインしたアクセサリーはバカ売れしてるけど、美形がつけるものだけは世界にひとつしかない手作りらしい。
最初のコメントを投稿しよう!