先生にも解けない問題

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 日焼け止めがまた目に沁みてくる。下っ腹がキリキリと痛い。私は黙ってることができない芸人みたいに、ぶつぶつと独り言を続けた。 「ああ、そっか。先生は世界史の先生だもんね……計算を間違えたってしようがないか」  ——就職するんだったら、今更気合い入れたって無駄っしょ。  亜沙実の言葉が蘇る。馬鹿な私がいくら勉強したって、ぴかぴかに膝を磨いたって、先生の隣には居られないってことくらい、ちょっと考えれば分かること。そう。こんなのは数学でも、ましてや算数でもない。子供にでも分かる常識(、、)だ。 「ほんと馬鹿」  手の甲に張り付いたマスカラフィルムを爪で引っ掻けば、今度は爪の間に挟まっていく。イライラする。 「んもう!」  フィルム剥がしを諦め、声を出して大きく息を吐いた。私はスマホを取り出し亜沙実にラインを送る。 『やっぱ勉強止めた 今からそっち行く』  すぐに既読のついたメッセージに、駅前のゲーセンの名前が返ってくる。いつものゲーセンか。駅のトイレでメイクを直してから合流しよう。この腹の痛さではナプキンもした方が良さそうだし。
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