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(すぐ子供扱いするんだから)
こうやって子供扱いされる度に、自分がどれだけガキかを思い知らされる。亜沙実と騒いだり、典之と馬鹿やったりするだけならいくらガキだって良い。でも先生と一緒のときはそうじゃない。もっと——なんて言うのかな、頭が良くて、セクシーで、こっちが甘えるだけじゃなくて先生を包み込むような包容力もある——そんな女じゃなきゃ駄目なのに。
囁くようなフランス語が、雨で滲む窓ガラスの外に、理想の女性を浮かび上がらせる。先生に似合う大人の女。頭の良い美人。私とは正反対の誰か。
「もし先生が……」
(先生じゃなかったら、一緒に馬鹿やったりできる?)
そう訊きたかったけれどやっぱり子供扱いされそうで、開き掛けた口を噤む。
「うん?」
「何でもない」
「そうか」
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