【第2話】

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「え……? みんなが藤川さんと本田さんを狙ってる……? それはちょっとよくわかんないけど……」 「いや、狙ってるじゃん! 工藤君もそうでしょ? とぼけなくていいって。もちろん誰にも言わないから」 「いや、別に……。ってか、まだ学校始まって三日目だし、誰もそこまで考えてなくない?」  なかなかの策士だ。健全な高校生男子で、彼女を作りたくないと思っている人間などいないのだから、クラスで二大美女となるあの二人を狙わないわけがない。それなのに冷静にかわしてきた。  でも、僕の目は(あざむ)けない。虚言で煙に巻こうという腹がバレバレだ。 「大丈夫だよ工藤君。僕は味方だから。ここは協力しようよ」 「ハハハっ! なんか面白いね春夏冬って。名字からして面白いもんね。春夏秋冬の秋がないから『あきない』って」  なるほど、僕の名字をイジることで一旦逃げたか。僕は別におかしなことなんて言っていないのに。  ここは逃がさないよう、追撃してみることにした。 「いや、僕は真剣なんだけど。おかしいことなんて言ってないよ。誤魔化すのはやめようよ」  真顔で迫ってみたところ、なんだか変な顔をしている。  はっは~ん、なるほど。そんなとぼけたフリまでして、ライバルたちを油断させようってことか。  その手には乗らない。僕にそういう計略は通じないのだ。
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