6人が本棚に入れています
本棚に追加
「え……? みんなが藤川さんと本田さんを狙ってる……? それはちょっとよくわかんないけど……」
「いや、狙ってるじゃん! 工藤君もそうでしょ? とぼけなくていいって。もちろん誰にも言わないから」
「いや、別に……。ってか、まだ学校始まって三日目だし、誰もそこまで考えてなくない?」
なかなかの策士だ。健全な高校生男子で、彼女を作りたくないと思っている人間などいないのだから、クラスで二大美女となるあの二人を狙わないわけがない。それなのに冷静にかわしてきた。
でも、僕の目は欺けない。虚言で煙に巻こうという腹がバレバレだ。
「大丈夫だよ工藤君。僕は味方だから。ここは協力しようよ」
「ハハハっ! なんか面白いね春夏冬って。名字からして面白いもんね。春夏秋冬の秋がないから『あきない』って」
なるほど、僕の名字をイジることで一旦逃げたか。僕は別におかしなことなんて言っていないのに。
ここは逃がさないよう、追撃してみることにした。
「いや、僕は真剣なんだけど。おかしいことなんて言ってないよ。誤魔化すのはやめようよ」
真顔で迫ってみたところ、なんだか変な顔をしている。
はっは~ん、なるほど。そんなとぼけたフリまでして、ライバルたちを油断させようってことか。
その手には乗らない。僕にそういう計略は通じないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!