津の守弁財天

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津の守弁財天

 曙橋方面に下って行く道から一本荒木町側に脚を踏み入れると、急に街並みが風情を持ち始める。高級な料亭やも多いこの辺りは、かつて花街と呼ばれ芸妓の町だった。俺の目的地は、この街のすり鉢状の谷の底、津の守弁財天のある「策の池」だった。その池に小さな紙片の入ったガラス瓶が浮いていれば、その店は営業しているというのが伝説だった。中の紙片に店の在処と連絡先が書かれているのだ。
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