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彼女が廃棄される日、安曇重工の研究所で、私は彼女に最後の面会をする事が出来た。彼女は、あの手術をした翌日に電源を落とされて以降ずっと眠っていて、この日が最後の起動だった。
「秋月先生、おはようございます」
私を見た彼女はいつもの様に笑顔を向けてくれている。
頷きながら彼女に背後の老婦人を紹介した。
「アバちゃん、竹川さんよ。月出島で貴女が助けてくれた……」
私の後ろから現れた竹川さんは彼女に歩み寄り大きく頭を下げた。
「先生、私を助けてくれて本当にありがとうございます。お陰様で命を繋ぐことが出来ました」
その声に、彼女が竹川さんに満面の笑みを向けてくれた。
竹川さんのその言葉こそ、AI医師として生み出された彼女が、本当の医師だった証だった。
FIN
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