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AIドクター
その日、自分のオフィスで明日のオンライン手術の準備をしていた。次の患者さんは六五歳の女性。大分県の病院に上行大動脈解離で入院されている。
その時、胸のポケットに入れたスマホが鳴った。
「はい、秋月です」
「秋月先生、山本だ。私のオフィスに来て貰えないか?」
電話の相手は外科部長の山本教授だった。
「はい承知しました。伺います」
山本教授のオフィスに向かい、ドアをノックして入室すると、教授がソファに座った若い男性と話をしているのが見えた。
「秋月先生、紹介するよ。こちらは安曇重工のAI医師技術部の川橋さんだ」
その説明には聞き慣れない言葉が有った。
「教授、今、AI医師とおっしゃいました?」
私の質問に紹介された男性がソファから立ち上がる。
「そうです。AI人造人間の医師を開発しています。安曇重工の川橋です」
その男性が伸ばした右手を握りながら挨拶をする。
「こちらこそ初めまして。心臓外科の秋月です。人造人間……AI医師の開発を?」
「はい、ほぼ完成しています。医師としての基本知識に加えAIにより様々な手術手技を学習させています」
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