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「おう」
「オレ、ずっと前から気になってたんだけどさ――」
とんでもないことを言い出した。
「あいつ、オネエっぽくない?」
すぐには何を言われたのか理解できなかった。
黙っている翔に気づいているのかいないのか、伊織が話を続ける。
「ぽぽちゃんと付き合い始めたって聞いてからそれとなく気にしてたんだけど、あいつ、女性的、っていうか、妙に小綺麗にしてるなあ、って思っちゃって。うまく言えないけど、なんかこう、ちょっと変じゃない?」
「そうかな」
「それにオレ、気づいちゃったんだけど。あいつ化粧してるっぽいんだよ」
そして、強い言葉を口にする。
「ホモなのかな」
反応したのは陽斗だ。
「おい、そういう言い方よせよ」
安心したのは一瞬だ。
「ホモって、差別用語だろ。ゲイって言えよ」
翔はそっちにも動揺した。
「ほら、今、LGBTとか、増えてるだろ。あんまりそういう言い方するなよ」
「そうだな、ごめん」
伊織がうつむく。
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