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「そうだな、そうだよな。オレ、差別するつもりなかったんだけど、そういうのちょっとにじみ出ちゃったよな。気をつけなきゃ」
「そういう人って、ひとクラスに一人はいる計算で生まれるんだってさ。オレらクラスで一人高橋がそうってこともありえるだろ」
陽斗にたしなめられて、伊織は改心した様子を見せた。
「理解のないやつだって思われたくないな。カミングアウトしてきた時にもいい友達でいたいっていうかさ」
「オレも。オレは高橋がそうかもっていうのはぜんぜん気づいてなかったけど、万が一そうだった時に支えてやりたいな」
「待てよ」
二人が、立ち止まっている翔のほうに振り向いた。
自転車のハンドルを握る翔の手は、震えていた。
「あいつがゲイでオネエだったとしたら、ぽぽは何なんだよ」
ぽぽは確かに、高橋をカレシと呼んでいるのだ。
「ぽぽは女子だぞ。ゲイは男が好きな男なんだろ。もし高橋がほんとにゲイだったら、ぽぽのこと好きにならないだろ」
二人が顔を見合わせる。
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