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「ぽぽ、言ってただろ。高橋のほうから告白してきた、って。百歩譲って高橋が本当にそうだとしたら、何も知らないぽぽのほうが告白して高橋を無理に付き合わせてるんじゃないと話合わなくない?」
「そりゃそうだ」
伊織が手を振って「あーっ」と叫んだ。
「もうオレが言ったこと最初から全部忘れて! オレ何にも気づかなかったことにするから。たぶん全部気のせいだ、ぽぽちゃんが嘘つくわけないもん。ぽぽちゃんは幸せにならなきゃだめだ」
翔はそこまで言うほどぽぽのファンではなかったが、翔もぽぽには幸せになってほしい。
確かに、ぽぽの性格上、嘘をつくことは考えにくい。メリットもない。高橋とぽぽはもともとは別の世界の住人で、同じクラスであるという以上の接点はなかった。ぽぽが無理して高橋に絡む必要はない。そこに恋という理由のない衝動以外の何があるというのか。
しかし翔は見てしまった。高橋が自分の唇にリップを塗っているところを。
それは、彼が実はオネエ系であることを示唆しているのではないか。
「そうだ、忘れようぜ。聞かなかったことにするわ」
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