第4話 高梨さんがいてくれて、本当に心強いよ。

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第4話 高梨さんがいてくれて、本当に心強いよ。

 平日の間、翔はもんもんとして過ごした。考えても解決はしないのだが、高橋冬彦の見てはいけなかった顔が頭から離れなくて苦しかった。  翔がどんなに苦しんでいてもぽぽはいつもどおりだ。日中はクラスメートとたわいもないおしゃべりをして過ごし、放課後はチア部で汗を流している。  彼女は知らないのだろうか。気づいていないのだろうか。ほぼ接点のない伊織でさえ気づいていたというのに、クラスで一番高橋とよく話すぽぽが気づいていないわけがない。何とも思わないのだろうか。  肝心の高橋ともいつもどおりだ。もともとが教室という同じ空間で一緒にいるだけの他人だったこともあり、良くも悪くも変化はない。  体を動かしている間はしばし忘れることができる。翔はよりいっそう部活に励んだ。  本日土曜日も朝から夕方まで部活で先ほど帰ってきたところだ。シャワーも浴びてすっきりした。  ところが、自室でゲームをしていたら、姉が話しかけてきた。生理用ナプキンを買ってきてくれ、とのことである。千円札を渡され、手間賃としておつりをふところに入れていい、と言われたので翔はしぶしぶ承諾した。
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