第4話 高梨さんがいてくれて、本当に心強いよ。

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 自転車でドラッグストアに向かう。片道五分の大したことのない道のりだ。  まだそんなに遅い時間ではないと思っていたが、外はすでに真っ暗だった。閑静な住宅街であるとはいえ、若い女性である姉を一人で行かせなくてよかったかもしれない。暦の上では夏はすでに終わっている。  店の前の駐輪スペースに自転車をとめ、中に入った。普段からそんなににぎわっている店ではなく、今日もちらほらと夫婦らしき中年の男女がいるだけだった。  翔が姉の生理用ナプキンを買わされるのはこれが初めてではない。母親の教育方針で、将来結婚した時に嫁のナプキンひとつ買えない男になったら困るから、とのことである。女性特有の生理現象にタッチするのに多少の気まずさはあったが、女性にとっては当たり前のことだと言われると受け入れないといけない気がしていた。  ハーフパンツのポケットからスマホを取り出す。いつだか姉から送られてきた画像を開く。写真と同じブランドのナプキンを探す。前回も同じ場所を探したので、今回は難なく見つけることができた。買い物カゴに放り込む。
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