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自動ドアの開閉音がした。ふと顔を上げたら、見覚えのある二人連れが店の中に入ってきたところだった。
一人はぽぽだ。中学校の区分でいえば同じ校区に住んでいるのでこの店で遭遇するのはそんなにおかしいことではない。
今日の彼女は丈の短いトップスに際どいショートパンツをはいていて、ばっちり化粧をして髪を巻いていた。
もう一人は高橋冬彦だ。
彼はサマーニットにダメージジーンズを合わせたユニセックスな服装だった。長い前髪は上げて頭の上でヘアピンで留めていた。コンタクトレンズを使っているのか眼鏡をかけていない。白く滑らかな頬はきっとファンデーションを塗っているのだろう。眉毛もしっかり揃えられ、唇の形もくっきりしている。
二人は何やら楽しそうに話し込んでいた。ぽぽが楽しそうにしているところはそんなに珍しくないけれど、高橋冬彦の笑い声は初めて聞いた。
翔は二人に気づかれないよう、しかしけして見失わないようにしっかりと、つかず離れずの距離を保って二人の後をつけた。どうしてそんなことをしようと思ったのだろう。高橋冬彦の正体に迫れる気がしたからだろうか。
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