0人が本棚に入れています
本棚に追加
翔とぽぽは同じ中学の出身だったので、高校に入って色気づいてもそれなりに親しくしていた。ぽぽは誰とでも親しくできるからちょっと男子と喋ったぐらいではやっかまれることはなかった。むしろ翔のほうがうらやましがられた。翔は野球一筋のスポーツ少年で脇目も振らずにボールを投げてきた男だ。女子といえばイコールぽぽというぐらい女子との接点がなかった。友達もみんなそんな感じで、ピッチャーなどをやる軟派なリア充どもとはちょっと距離を置いていた。そんな翔がぽぽに話しかけてもらえるというのは幸運なことであった。
さて、夏休みが明けてすぐのある放課後、ぽぽと翔は教室からそれぞれの部室に移動するために廊下を並んで歩いていた。もちろん二人きりではない。翔のチームメイト二人も連れ立っていたので、合計四人での道のりである。
ぽぽが言った。
「そうそう、カケルたちに聞いてほしいことがあるんだけどさ、今ちょっといい?」
翔たちは素直に「なになに?」と返事をした。
彼女が嬉しそうな顔をした。
「カレシができたの」
最初のコメントを投稿しよう!