第6話 ぽぽちゃんと高橋冬彦のその後。

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 感動した。彼がこんなに流暢に話せるとは思っていなかった。前からそういうやつだったのにコミュニケーションを取れていなかったのか、この三年で変わったのか。いずれにせよ、大人っぽいな、と思った。  前髪を耳にかけながら続ける。 「二十歳になっていい区切りだと思ったし、ぽぽのご両親に会った」  その、耳に髪をかける左手の薬指に銀色の指輪をしていた。 「まだしばらくは難しいと思うけど、将来はぽぽと結婚しようと思ってる」  嬉しそうに目を細める。 「怪しげな濃厚接触者じゃなくて同居の家族でいられるようにね」  翔はただ黙って高橋冬彦を眺めていることしかできなかった。 「僕は一人の男として一人の女性である高梨たんぽぽさんを永遠に愛そうと思うよ。ゲイでもトランスジェンダーでもなくてごめんね」
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