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七月の最後の週に開催された河原の花火大会だ。言われてみれば、翔とぽぽのクラスの人間はグループLINEで約束をして希望者全員で集まった。しかし翔は誰がいて誰がいなかったのか把握していなかった。あの人混みの中に高橋もいたのか。意外だ。みんなでわいわいするタイプではないように見える。
「あの時、冬くんに告白されたの。好きです、付き合ってください、って」
「マジで?」
四人で階段を下りる。
「すぐOK出したの?」
「うん。わたし、カレシってものが欲しかったし。こんなに可愛くしてるのにモテなくて自己肯定感下がりまくりだったから、好きになってくれる男子がいるっていうのがなんだか嬉しくて」
それはぽぽの周りの人間が牽制し合っていたからだ。ぽぽは本当はモテるが、知らぬは本人ばかりなり。みんなのぽぽちゃんを空気の読めない高橋がかっさらっていった形になった。
「わたしのこと、明るくて元気で、見てて癒される、って言ってくれたの」
「あいつそんな奴だったっけ。喋ったことないからわからんけど、ちょっと陰キャっぽくない?」
「冬くんの魅力を知らないなんて損してるね」
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