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すっかりカノジョヅラしてよくも言ってくれる。どれだけの男子が悲しむかも想像できないとは、ぽぽと高橋は嫌なカップルだ。
しかし、かえってよかったのかもしれない。同学年のイケている男子たちが壮絶な喧嘩をするくらいだったら、地味な高橋をのぼせあがったぽぽが世話する格好になる、というのもまた人生か。
ぽぽにカレシができたこと自体はそんなにショックではなかった。翔がショックだったのは高橋という冴えない男子が自分たち運動部のグループに割り込んできたことだ。運動部男子による紳士協定が帰宅部の彼の手で破られたのだ。
高橋に興味が湧いた。
けして喧嘩をふっかけてやろうというつもりはないが、ちょっと会話をしてみたい。今度会った時に高橋をもっとよく観察してみよう。そしてぽぽにふさわしい男なのか確かめたい。
「高橋冬彦ねえ」
四人は昇降口で靴を履き替えるとグラウンドに向かって歩き続けた。頭が痛くなりそうなほど日差しが強く、暑かった。
こうして高橋冬彦の観察を始めた翔だったが、この高橋冬彦という男、どうもつかみどころがない。
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