第4話 因縁の敵

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第4話 因縁の敵

「腐れ縁かあ。 いいなあ。 こういった関係がほしいなあ」 「羨ましい?」 「羨ましい。 すっごく羨ましい。 セリオちゃん、すごくきれいだし」 「ありがとう」 「髪もつややかで、瞳も宝石みたいだ。 髪留めの赤いリボンも似合っている。 どこで、買ったんだ?」 「市場の商店街かしら? 6歳の誕生日に、買ってもらったの」 「髪のお手入れとか、どうしているの?」 「これは、そこらへんで売っているシャンプーとか使っているから、特に意識したことはないかも。 髪質はママからの遺伝かもしれないわね」  ここで、バンピーロの視線を感じた。  やばい、嫉妬しているかもしれない。 「ナンパか?」 「どう見ても、ナンパじゃないわよ」 「君の髪も瞳も僕だけのためのものなのに・・・」  バンピーロは、どこか悔しそうだった。 「大丈夫よ。 私は、誰かのものになったりとかしない」 「だといいんだけど」  バンピーロは、どこか納得していなさそうだった。 「婚約者って言ったでしょ? その話をしたことは、なかったことになったのかしら?」 「なってない!」  私はこの時、バンピーロは子供みたいで可愛いと思ってしまった。  なんやかんやで、私は幸せな学校生活を送っていた。  だけど、それも長くは続かなかった。  保育園時代のいじめっ子集団がせめてきた。 「ここに、佐藤はいるかー!」 「佐藤のやつ、逃げられると思うなよ!」  佐藤というのは、私の苗字だ。  数年ぶりで懐かしい感情があるのと、同時に恐怖もあった。  どこにいても、やってくる。  まさか、魔法学校にもやってくるとは思わなかったけれど、元いじめっ子軍団は何の魔力も持っていない。  だから、勝てっ子ない。  だけど、元いじめっ子軍団は次々に、人を殺していった。 「なんだ、こいつら?」 「人間の匂いがするけど、何者なんだ?」 「魔力は持っていないはずだ。 どんどん、魔法を使うんだ!」  元いじめっ子集団は銃や包丁を持っていて、それを使い、次々に銃殺や刺殺をしてくる。  魔法学校の生徒や先生たちの魔法で、少しずつ元いじめっ子集団を撃退している。 「佐藤は、どこにいるの?」 「佐藤は、どこかにいるはずだ。 探すんだ!」  私は槍をかまえた。  私が、当のいじめられっ子の佐藤だと気付いていないみたい。 「君のいう、佐藤って誰のこと?」 「は?」 「佐藤って、誰のことかって話よ」  私は、元いじめっ子のリーダーにそうささやいた。 「保育園の頃のひ弱な女のことだ! 坊主頭のな!」 「何のことかわからないけど、君のお目当ての相手はいないと思うわ。 早々に立ち去るのね」 「うちは、佐藤ってやつをいじめたいんだ! いじめることを生きがいとしている! 今だって、そう! いじめたいから、探しているんだ! ストーカーしているんだ! いじめをしていないと、禁断症状がでそうで・・・・」 「そんなことなら、重症ね」 「そうだよ! 重症だよ!」 「なら、昔の人がどこにいるかを探すよりは、お医者様を探した方がいいんじゃないかしら?」 「今すぐ、殺す!」  元いじめっ子リーダーが銃を向けたところに、バンピーロが私を救出してくれた。 「バンピーロ・・・・」 「セリオちゃんにひどいことをする人は、僕が許さない。 僕が相手だ」 「かかってきな!」 「バンピーロ、こんな相手に勝てる?」 「勝てる勝てないじゃない。 君を守るか、守らないかだ」  こうして、バンピーロが元いじめっ子に立ち向かった。 「一緒に逃げよう! バンピーロ! 私は、君に生きてほしいよ!」 「はん。 うちは人間世界でも警察に追われ、家族からも見放され、異世界では指名手配犯の身だ! うちの顔を見た以上は、簡単に逃げられるなんて思わない方がいい!」  私も、戦わないと・・・・!  誰にも言えないけど、私が原因で起こったことだから・・・!  だけど、恐怖のあまり、足が動かなかった。 「バンピーロ、お願い・・・。 帰ってきて・・・・」  バンピーロは、銃で何か所も撃たれて、怪我をしていた。  それでも、生きているのは、吸血鬼であるおかげだと思う。 「セオリちゃん、僕は絶対に助かるから、この場を離れてよ」  バンピーロは足を負傷して、今にも動けそうになかった。 「うちの言ったことを、お忘れで? 顔を知られた以上は、逃がさないって」 「逃げられないことなんて、承知の上だよ。 逃げられないなら、逃がしてくれないなら、戦うまでよ!」  私は槍を抱えて、元いじめっ子のリーダーに戦闘をしかけた。 「うちは、あんたらを、世界を、許さない!」 「全部、ぜーんぶ、自業自得よ! 話を聞いた限りね!」 「うちは、理屈屋なんて嫌い!」 「私は、いつまでも過去のことばかりにこだわって、自分のことよりも、いない人のことばかり気にして、仲間の命でさえも、罪悪感を持たない君が嫌いだよ!」  私は、負けずと言い返す。  二度と、あの時のように我慢したりしない。  私は、逃げることだけじゃない。  戦う手段もある。  私は銃での攻撃を槍で跳ね返し、ナイフも槍の刃先で折った。 「高かったナイフを、どうしてくれるの?」 「こっちこそ、大切な友達をどうしてくれるのよ?」  私は過去にやってきたこともそうだけど、大切な人を傷つけたことを許せそうになかった。
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