空虚な箱庭

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 絶望のはじまりは中学二年生のときに遡る。もう七年も経つというのに、当時のことを思い出す度に喉の奥に何かがつっかえて、心臓がひんやりと冷たくなることには未だに慣れていない。    それはゴールデンウィークが終わり、クラスメイトの顔と名前が一致するようになって、一緒に行動するひとが固定されるようになった頃。  いつも一緒にいた三人の友人が、ある日突然俺の存在を無視するようになった。移動教室は置いていかれるし、昼休みも仲間に入れてもらえない。  そんなことをされるのは初めてで、頭の中で「いじめ」の文字が過ぎる度に受け入れたくなくて必死に「そんなはずない」と打ち消していた。  独りになるのが怖くて、周りの目を気にして、逆効果だっていうことを分かりもせずに俺はみっともなく彼らに縋った。  その日だけのドッキリなんじゃないかって、タチの悪い冗談なんじゃないかって、そう信じていたかった。  だけど、そんなの、俺の願望に過ぎなかった。
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