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神田さんの実家近くを通ったけれど、立ち寄りはしなかった。さすがの彼も、あまりにも性急な展開だからと、自分を抑えてくれたらしい。
私はホッとしながらも、少し名残惜しい気もした。
彼の生まれ育った家や、家族に会いたいという感情が芽生えている。
私こそ彼に負けないくらい性急だ。自分自身に驚いてしまう。
「俺は二人兄弟の次男なんだ。兄貴が嫁さんをもらって、両親と住んでる。子どもも二人いるよ」
「そうなんですか」
神田さんについて、知らないことがいっぱいだ。
それもそのはず。
私達の旅は、まだ始まったばかりだから。
この先、どんな世界が待ち受けているのだろう。
私はわくわくしながら、彼の隣で、彼の故郷を見つめていた。
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