Tomorrow

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 一時間ほどドライブしてから、私達は再び高速道路にのった。  復路もパーキングエリアとサービスエリアに小まめに立ち寄り、買い物とお喋りを楽しんだ。往路と違うのは、いちいち手を繋いだり、くっついて歩いてること。  神田さんから積極的に求められることに、ちょっと驚いてしまう。こんなにスキンシップが好きな人だったとは……嬉しいけれど、かなり照れてしまう。  だけど、何だか不思議だった。こんなふうに恋人らしく振舞いながら、どういうわけか彼は、仕事の話題ばかり振ってくるのだ。  言動がちぐはぐな気がして、私はどきどきしながら少し戸惑っていた。 さっきみたいに、家族の話とか故郷の話とか、いろいろ聞きたいのに……  最後のパーキングエリアに着く頃、空には星が瞬いていた。  エリア内に設けられた遊歩道は小寒いけれど、イルミネーションがきれいに輝いている。二人は店舗棟を離れた静かな場所で、温かい飲み物を手にベンチに座った。 「仕事以外の話をしたいって?」 「はい」  私は思いきって、『恋人』としての望みを口にしていた。
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