Tomorrow

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 そうだったのか。  だから、今日はこんなにも。 「楽しいのですね!」  神田さんは目尻を下げて、私の髪をやさしく撫でてくれた。  この仕草は、上司のものではない。正真正銘、恋人としての甘いスキンシップである。 「他の誰かと、ここまで突っ込んだ話はしないよ。マイナーでオタクな話題でも、君はしっかり受け止めてくれるし、気持ちも通じる。真山だからこそ、俺はこんなにも幸せな時間を過ごせるんだ。君は特別な人だから」 「特別……」 「ああ、誰よりも特別な女性だ」  世界がばら色に染まる。  神田さんの強い口調と眼差しに、完全にやられてしまった。    彼が仕事以外の話をする女性とは――私だったのだ。   「真山……いや、妙子。あらためて訊くぞ。俺とのデートは楽しい?」  呼び捨てにされて、耳も頬も熱くなる。  私は彼の問いかけに、大きく頷いた。 「はいっ。もう、楽しすぎて困ってしまうほど楽しいです!」  髪を撫でていた手が止まり、私を抱き寄せた。  スキンシップが大好きな彼のキスは、愛情に満ちている。  英二さん――  幸せすぎて零れた涙は、彼が"いっちゃん"で拭ってくれた。
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