104人が本棚に入れています
本棚に追加
それから私達は、イルミネーションのきらめく小道を散歩した。
指を絡めて、寄り添い合って、互いの体温を感じて……
恋人同士の時間は、あっという間に過ぎてしまう。
パーキングエリアを出ると、すぐにインターに着いてしまった。
ゲートを潜る時、私は寂しさを感じた。
もうすぐドライブは終わり。彼と離れてしまうのだ。
「さてと、妙子」
「はい、え……英二さん」
名前で呼び合う私達。
でもまだ慣れなくて、つっかえたりする。照れてしまうけど、新鮮な響きが心地よかった。
「これから君をアパートに送って行くけど……」
英二さんは遠慮がちに、その願いを口にした。
「君の宝物が見たいな」
「宝物?」
復唱すると、彼は少し恥ずかしそうに頷く。
「象のとべぞう君」
「……あ」
最初のコメントを投稿しよう!