サヨナラはできない

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触れたくないもの。 見たくないもの。 過去の道においてきた。 だけど離れる事はできなくて、 遥か先の光が止まる。 光を目指す人影が 光に吸い込まれるように小さくなる。 いくつもの人影が光に消えた頃、 やがて気付き、覚悟する。 サヨナラはできないと。 迎えに行こうと心に決めるも、 そこはすっかり霞みの中。 色も形も、場所さえも。 探って探って拾ったそれを 胸にしっかり抱え込み、 光に向かって歩き出す。 抱えたものの重さの分だけ 歩く速度は遅くとも。 ようやく光が 僅かに動き始める。
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