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その日を迎えて(みかげside)
迎えた午後8時。
ドーンという大きな音が聞こえたかと思うと、目の前の空に大輪が咲いた。
赤、青、緑……色とりどりの花が夜空に次々と咲いていく。5年ぶりに自分の目で見る花火は、まるで手を伸ばせば届きそうなほど、近い場所にあった。
『みかげさんのために、この花火をあげました。近くまで見に来て欲しいな』
ゆうきくんからのLINEだ。みかげはすぐにナースコールを鳴らして、河原まで出る許可を得た。チューブが着いたままだったが、4年ぶりに外に出ることができた。すると、ゆうきくんが迎えに来てくれた。
「来てくれて、ありがとう」
彼と一緒に、まるで無数に打ち上がる花火を食いいるように眺めた。菊、牡丹、万華鏡、柳……、夏の終わり、自分のためにあげてくれた花火を、みかげは目に焼き付けて行った。
ゆうきは、花火が上がるたびに、あか、きいろ、しろと変わって行くみかげの顔を見つめている。
そして気がつくと、互いの手をにぎっていた。
あっという間に10分が経過して、終了を示す三発の光を放つ花火とが打ち上げられた。
みかげはしばらく、煙がなびく夜空を見て、感慨にふけっていた。
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