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「それしか言えないもの、だって、お付き合いしたとして、私が死んだらあなたを悲しませることになるもの」
「悲しませることになるって、もしかして死ぬってこと?」
彼女はだまってうなづいて、
「だって、病気になってから、もう4年も退院できないんだよ。あのね、隠すつもり無かったけど、私はもう30歳近いの。だから体力も落ちてるし、きっともう長くない」
そう言うとうつむいて、続けた。
「大きな打ち上げ花火だって、もうずっと近くで見れてない。この病院から出られないから、テレビ中継で見るしかないし……、キミが送ってくれる花火大会の写真を見るのは楽しいけれど」
こういう時はどうしたらいいのか……、頭をフル稼働させて必死に考えて、言った。
「じゃあ、ぼくが大きな花火を見せるよ!」
「そんなことできるの?」
「できるよ!」
少し声が震えたが、やってみるしかないと思った。そこに看護師さんがやってきた。
「すみません、もう15分を過ぎています」
時計を見ると20分以上過ぎていた。面会は終了となった。
ぼくは、みかげさんに少しでも打ち上げ花火を近くで見てもらうため、行動を起こすことにした。
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