青天の霹靂

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 ケラケラと笑いながら、その晩は菊池さんの作ってくれた温かいご飯を食べた。  あまり味は感じないのに、心がこもった食事は目にも鮮やかで食欲をそそる。   「菊池さんって、お料理上手なんですね」 「そうでしょう? あなたにも色々教えてあげるわ」 「助かります。私の料理は自己流で、茶色ばっかりだし、よろしくお願いします。あ、元に戻ってからですけど」 「わかってるわ。私からも一つお願いがあるの。もう少しリハビリしてもらえないかしら? 弱音吐かないし、がんばるから」 「いいんですか?」 「いいのよ、せめてあなたとキッチンに並べないと、色々教えてあげられないもの。足腰鍛えなきゃ」  ウィンクをして見せた菊池さん。  その夜はベッドで眠る私の横に布団を敷いて、目をつぶったままずっとおしゃべりをしながら眠りについた。  私は菊池さんの重い身体のせいか、年のせいか、すぐに眠くなるのに夜中に何度も目が覚める。  そしたらまだ菊池さんが、一方的におしゃべりをしていて楽しそうな姿にあきれながら、また目を閉じる。  そうして、私と菊池さんの新しい朝がやってきたのだけれど。
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