青天の霹靂

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「つまんないわ」  シワシワの口元を更に子供みたいに、すぼめた菊池さんに苦笑した。 「たった一日だけの若返りとか、神様はイジワルね。今日も相変わらず、身体が重たいったら~!」  元に戻ってしまった菊池さんが、悲しそうにぼやいている。 「とりあえず、朝ごはんを作りたいんですが」 「そうね。ああ、久々にパンが食べたかったのに悔しい」 「柔らかいのなら食べられませんかね? 近くのパン屋に耳まで柔らかい食パンが売ってるんですけど」 「ステキじゃない! ねえ、行ってきてくれる? 。あ、ついでに自分の荷物も回収してらっしゃい」 「了解です。ちょっといってきますね」 「ええ、すぐ帰ってきてくれないと私、お腹空いちゃうしね、早くね、早く」  急かす笑顔に微笑み返し、立ち上がる私に菊池さんが思い出したように。 「はい、これは家の鍵よ、無くさないで。朝食がすんだら、ちゃんと契約してね? 忘れてない?」 「はい、今日からお世話になります」 「こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いします」 「いえいえ、こちらこそ、どうかよろしく」  お互いに頭を下げ合って恥ずかしそうに手を振り合って、新しい朝を歩き始めた。  やけに軽くなった身体に感謝して、う~んと一つ伸びをしたら、走り出す。  ただいま、と言える人がいる家に早く戻りたい。  おかえりの笑顔に会いたくて――。
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