黄昏と海と

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「なんで?何かあったの?」 「昨日、ネーレウス様の夢を見たのです。」 ヘスペロスは首を傾げた。 「ネーレウス…?」 「あ。申し訳ありません。 へスペロス様のひいひいひいひいひい…… おじいさんくらいです。」 「まあ、ご先祖様ってことか。」 「はい。ネーレウス様は 私がクレイオエスト家に出荷された時の 初めてのご主人なんです。」 へスペロスは興味なさげに顔を逸らす。 クリオは、 あまりにもそっけないへスペロスを見て ため息をつく。 「それで? その…ネーレウスが質問と どう関わってくるの?」 嫌がるのを隠すそぶりもなく、 へスペロスは投げやりに声をかける。 「私は…人間ではありません。 昔仲良くしてくださった人間の皆さんは とうの昔に亡くなってしまいました。 私は、きっとへスペロス様が 亡くなってしまってもこのままでしょう。」 「僕が死ぬなんて当分先の話でしょ?」 「100年なんて結構すぐですよ。」 「……」 時の流れ方の差にへスペロスは面食らう。 クリオは切なそうに目を細めた。
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