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「相手チームは強いの?」
茜が今ちょうど着いた相手チームのバスを見ながら尋ねる。確かにそれは重要だ。今回健介達のチームは、健介のようなレギュラー入りをかけて試合に臨む人ばかりらしい。要は補欠ばかりってことだ。だから相手チームが強すぎると、活躍どころか点を入れることさえままならないはず。
「ピッチャーの川島はちょっと手強いけど、他は平均的な感じかな」
健介は苦笑しながら、気合い入れなきゃな、なんて言ってるけど、僕には充分すぎるほど気合いが入ってるのが分かる。
笑って話なんかしてても、それだけこの試合に力を入れてるってことだ。
力みすぎて変なミスなんかしなきゃいいんだけど。それでレギュラー入りできなかったら馬鹿みたいだ。
「あ、じゃあそろそろ休憩時間終わるから」
そう言うと、健介はすぐにチームメイトのところに向かって走り出す。僕は声を大にして叫んだ。
「頑張れよー!」
「おう!」
僕と茜は試合が見やすい場所に移動して、二人並んで腰を下ろした。
まだ春なのに、太陽が暑い。その暑い中運動する野球部員の人達は、きっと僕よりも暑く感じるんだろうな。
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